中央執行委員長あいさつ

新潟県にて開催しました第93回定期全国大会にて中央執行委員長に選任されました鈴木誠一です。全港湾の輝かしい歴史を継承するとともに、組織の強化、拡大、発展に全力を尽くし、組合員にとって魅力ある労働組合であり続けるべく、努力する決意であります。

全港湾は先の戦争、戦後とともにあります。草創期の偉大な先人の方々から今日までの先輩諸氏の絶え間ないご尽力によって全港湾労働運動は継承されてきました。戦争により打ちのめされた国民の中で公共財である港湾と港湾労働者の開放を大衆路線、大衆討議を一貫して組織されたと学んできました。それは一つに平和憲法と呼ばれる現行憲法「日本国憲法」の恩恵によるものと確信しています。
当然、私自身は戦争を知らない世代でありますが、全港湾労働運動を取り組み、学ぶことで平和憲法の大切さ、戦争の無益と悲惨さや、それ以外の理不尽な社会的な矛盾を理解できることが出来ました。



戦後77年の現在の私たちを取り巻く生活環境はとても厳しい変革の時を向かえていると感じています。それはこれまでの政府、政治の無責任な無策による人災と言っても過言ではないと思っています。
遠い過去から問題視されてきた少子高齢化は労働者不足となって顕在化してきました。大資本とその利益を優先する政府、行政は問題を先送りし、何も対策を講ずることなく現在に至っています。私たち労働者の存在を考慮することなくAI・IOTを活用するとし、すべての産業で自動化と機械化を具体化しています。
先進国の経済成長を優先し、対策を怠ってきたことによる環境問題は災害級の異常気象など深刻さを増してきています。環境問題の悪化を放置してきたのは経済成長を最優先としてきた日本政府を含む先進国各国の大企業優遇の新自由主義によるものです。
エネルギー問題で、その環境問題の解決を理由とした政府施策は非効率な石炭火力発電所を休廃止することと、災害大国、地震大国の日本において大変に危険な原子力発電の再稼働推進や新たな原子力発電所の建設をすすめることとしています。
環境問題改善と解決に脱炭素化は必然ですが、既存の働く者のことは一切考慮されていません。
また、過去の経験と反省を振り返ることなく政治が本来のやるべきことである外交による努力を怠り、東アジアの安全保障の危機を煽り、軍事費、防衛予算の倍増を模索しています。


大手物流企業に限らず、大手資本は空前の利益を得ています。しかし、日本の労働者の賃金は下がり続けています。戦後の高度経済成長期の後、今から30年ほど前の国民生活は「一億総中流社会」と言われました。21世紀の現在、国民の経済格差は拡大し続け、貧困が問題になるなどの事態となっています。このことは日本の労働運動の危機的な問題を表しています。


私たち全港湾は引き継いできた労働組合の原則を堅持して大衆路線、大衆討議を基本にすえて組合員と家族の生活をまもることと、そのための産業をまもることも含め、企業の枠を超えた産業別労働運動を強化していかなければなりません。
労働運動とは労働者が自らの待遇や社会的地位等の維持・向上を目的に雇用主である企業・団体や公権力に対して、団体で主張・行動をおこなう社会運動であります。
働く者の自信と誇りをもって真の労働運動の原則を貫く、私たち全港湾は組織を強化し拡大していくことが最重要課題であります。全港湾労働運動の基本は現場闘争です。支部、地方本部、中央執行委員会にて全港湾の魅力の柱である大衆討議によって方向性を決定する。その情報を組合員みんなで共有する。第一義に行うべきは何か、みんなで考え、みんなで結論を導いていく、そんな全港湾を私は継承していきたいと考えています。

最後に私は組合員に寄り添い「気さくな委員長」を目指します。全国の組合員のみなさんの力を結集して魅力ある労働運動を前進しましょう!